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長期熟成酒 20周年記念座談会10 

杜の娘:松岡

『お酒はきき酒して飲むものじゃない 楽しんで飲むもの』
そんな大前提の基本が飛び出した、座談会10回目デス。
我々技術者が忘れがちなこと、ぽっと言われると、一瞬考えてしまうこと。
でも絶対忘れてはいけない大切なことですね。

ワタクシはどうしても、最初の一口がきき酒の飲み方になってしまいます。
因果なもんですね。

さて、気を取り直して(?)
座談会も10回目。
出演者は今回も、岐阜の達磨正宗 白木善次氏
        石川の百々登勢 梁井宏氏
        岡山の酒一筋  利守忠義氏
        そして長老・本郷信郎です。

<20周年座談会10>

白木:「やっぱり、物事の発想する時は、過去がある商品、伝統がある商品だったら、昔の事もう一度考えてみるべきだと、僕は思うな。
僕は『よく常温でやった』とか『タンクに入れた』とか言われるけど、ちゃんと考えてみたらね、その通りの事をやってきたんです、先祖は。
どう考えたって、吟醸的な米ではない、普通の仕込みで、出来た酒を常温で囲って、空気が出入りしていたというのは、これは、歴史はその通りだから」

利守:「それでも、常識的な一般酒造理論としては、タンクに貯蔵して常温で放ってという事になると、当然“火”(火落菌※1)が、普通だったら来ますよね。
結局“火”が来て、ほったらかしにしとく、もうどうにでもなれって放っておくと、それがまた今度、おりが自然に沈殿してくる。
酸のきいたしっかりした色のついた酒になると、こうゆう理論も出てくるような感じするんです。
それと同じような事をやったのが、長野の麗人さんの酒古里(※2)のような形となって出てきたりしたんだと思いますね。
確かに熟成酒の場合は、香りがまず一つだし、それとやっぱり目で見て色も非常に楽しみだし、味については、それは二つとして同じものはないわけですから。
非常に今の一存の吟醸・大吟あたりとは違い、非常に幅の広い、味わいのある、確かにそうゆう酒で。
その点に我々生産者ももっと目を向けなきゃいけないんだけど、どうもなかなか発想の転換というのか、基準点が開かれませんね。
どうも狭まるか、狭い間の商品の競争ばかりやってしまって」

苦笑

白木:「まぁ、身内の話なので言いますけど、こうゆう事がありました。
大阪の酒販店さんが、二つ酒を出してきて。一方が雄町(※3)で、もう一方が山田錦(※4)の酒でした。
『白木さんこの差、わかりますやろ』と言われる。
そりゃ僕も端くれですから、全身の神経を集中してきけば、確かにわかります、ちょっと違うなって。
しかし僕はその方に言ったんですよ、その時に。
『社長さん、この差をね、酒はきき酒して飲むもんやないんだ、お客さんは。わーわーって楽しむ席上でこの差がわかるお客はおらんよ』って」

梁井:「それは吟醸ですか? 普通酒ですか」

白木:「純米酒です。秋口だったと思います。
確かに神経を尖らせてよーくきけばわかるような気がするけど、この差がわかるかというような事言っていたら、酒は売れないぞと僕は言った。
もっと酒というのは、これだけ世の中の人間の交流が激しくなった時に、その差で、差別化があるという、そんな馬鹿な考え方は、僕は賛成出来ないと。
そしたらその方は、ぽかんとしてたけど」

梁井:「それはその通りですな」

利守:「確かに米の、単一品種での味分けというのは、同じ条件で同じような酒造りをしなければ、出てきませんね。
麹は別のものを使うとか、掛米は別のもの使うとか、そうゆうことは一切やらず、オール山田錦なら山田錦で、全て麹まで統一して、同じような条件で出していったら、確かにこれはもう、アケボノから朝日から雄町から山田錦から五百万石(まとめて※5)から、全部違ってくるのは、当たり前の話であって。
同じ条件でやったら、それはもうワインでいう、ブドウの種類の違いと同じような事であろうと思うけれどね」



※1・・・火落菌
 清酒の汚染雑菌の総称。
 主に乳酸菌、野生酵母。
 例えば香りや味に異常が出たり、お酒が白く濁ったり、乳酸が増えて酸度が上昇し、酸っぱいお酒になったりする。
 昔は衛生管理も行き届かず、かつ、お酒が貴重な時代にはお店で水を加えるなどして売っていたため、火落菌による汚染があった。
 今でも「古い酒=酢になる」と思われているのは、こうした背景があるため。
 でも酸っぱさは酢酸ではなく、乳酸などが原因だったんですよ。
 きちんと管理されて、熟成を目指しているお酒は酢にはなりません!

※2・・・麗人さんの酒古里
 長野の麗人酒造の長期熟成酒。「シャブリ」と読みます(しゃれ)
 酸のしっかりした熟成酒をヒントに、製造の過程でシェリー酵母を介在させ、酸味のある、白ワインのようなお酒になっています。
 この酸味は、蔵元が意図して造ったものです。
 火落などではありません。ご了承下さい。
 7年、12年、21年物が商品になっています。
 12年の酸が練れてきたこのお酒、パスタなどイタリアンに合います。
 チーズたっぷりのパスタもよし。
 和風に柚子胡椒パスタでも。白ワインの代わり軽く振り掛けると、さらに相性がUPします。

※3・・・雄町
 清酒造りに適したお米の種類。
 利守酒造はこの雄町を復活させた蔵デス。

※4・・・山田錦
 言わずと知れた、酒造好適米。鑑評会用の大吟醸は、この米を用いて造られることが多いです。

※5・・・いろんなお米
 清酒造りに使用される米。それぞれのお米によって、お酒の味はかわります。


今回は説明がちょっと長くなりました。
火落菌は大学でも散々習いました・・・。
でもって「古い酒=酢になる」も未だに良く言われて、訂正してます。
まず敵は身内にあり・・・自分の父から、誤解を解かねばならないようです(杜の娘)。


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